2008年4月23日水曜日

第30回こころとからだ研究会開催のお知ら

こころとからだ研究会(第30回)の予定が決まりましたのでアナウンスさせていただきます。
間際のお知らせとなり申し訳ありません。多数のご来場をお待ちしております!。



日時:2008年4月25日(金) 16:30-18:30
場所:滋賀県立大学D4-203教室(人間文化学部棟2階)
話題提供:福永恭啓氏(滋賀県立大学人間文化学部地域文化学科4回生)
 

【演題1】
チンパンジー幼児の発達とこれにともなう活動空間の拡大
【要旨】
チンパンジーの母子間分離を扱った研究は多い。しかし、それらの多くが母子の水平分離のみを問題にしており、垂直分離に関しての知見は少ない。チンパンジーの活動空間は樹上を含む3次元的な空間であり、垂直空間への活動の広がりを調べることも重要である。そこで、本研究では到津の森公園(北九州市)において飼育されているチンパンジーの母子2組を対象に母子の垂直・水平分離に着目し、母子の分離頻度の観察を行なった。その結果、母子間の分離は、水平には5から6カ月齢から始まり、母親を基準とした垂直上方へは8~9カ月齢から、垂直下方には12ヵ月齢から始まった。2組の母子ともに垂直空間への分離において下方空間よりも上方空間を先に利用する傾向にあった。このことから、チンパンジーのアカンボウを母親より上部に行くことを選ばせる何らかの判断要因があることが示唆された。また、母親を基準としたアカンボウの水平と垂直の空間利用率にも有意な差があり、アカンボウは母親からの分離において、母親と同じ水平面の利用を好むことが示唆された。以上より、アカンボウは母親から離れるとき、母親を基準として、まず水平空間、つぎに上方空間、下方空間の順に選好する傾向があると示唆される。今後、他のアカンボウや母親以外の他個体との関係の比較など、より詳細な分析により上記の仮説の妥当性を検討したい。

【演題2】
大阪市天王寺動物園でおこったオスとメスのリーダー争い
【要旨】
天王寺動物園で起こったチンパンジーのオスとメスのリーダー争いについて報告する。リーダー争いにおいて敵対関係にあるチンパンジーのオス同士が緊張を緩和する目的で通常より頻繁に毛づくろいをすることがフランス・ドゥバールによって報告されている。しかし、メスはオスとは違った感覚を持っていると考えられており、この法則がメスにも当てはまるのか今のところはっきりしない。そこで、天王寺動物園において一番緊張が高まるであろう放飼場内での給餌を操作して争いのあるメスとオスの毛づくろいの発生要因と頻度を調べた。その結果、通常と同じ給餌条件では給仕前に高い頻度での毛づくろいが見られた。しかし、給餌を停止すると頻繁に見られたグルーミングがほとんど見られなくなった。ドゥバールの観察した群れでは給餌が行なわれていなくても高い頻度で毛づくろいが行なわれていることから、メスは食物の獲得という目的では緊張を感じるが、日常生活の社会的な要因ではあまり緊張を感じていないと示唆された。またグルーミング中に状況が不利になったメスが性皮をオスに差し出し状況を自分が有利になるように変える場面も観察され、メスが性を争いに巧みに利用していることは興味深い。これらのことをビデオ映像を用いながら紹介したい。

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