2007年12月18日火曜日

こころとからだ研究会(第27回)のお知らせ

●こころとからだ研究会(第27回)
日時:2007年12月19日(水) 16:30-18:30
場所:滋賀県立大学D4-203教室(人間文化学部棟2階)

話題提供: 藤本麻里子(滋賀県立大学大学院人間文化学研究科生活文化学専攻人間関係研究部門博士後期課程)

『トングウェ語の社会言語学的調査に関するフィールドワーク報告』

2007年6月から9月にかけて、タンザニア連合共和国、キゴマ州で行なったトングウェ語の社会言語学的調査(財団法人日本科学協会笹川科学研究助成の補助による)について発表する。
 タンザニアには約 130の部族が存在し、各部族は固有の言語を持つ。しかし1961年の独立後、アフリカ由来の言語であるスワヒリ語が国語とされ、国民の多くがスワヒリ語を話し、理解する。このような状況下で、部族語の中には若年層に継承されず、消滅の危機に瀕しているといわれる言語も数多い。発表者は多くの部族の人々が混在する、タンガニイカ湖畔の3つの村と、トングウェの人々のみからなる4つの小集落を訪れ、彼らの言語使用の実態を調査した。
 調査は、インタビューによる意識調査、トングウェ語の語彙知識調査、民話・民謡の収集、自然会話の聞き取り、という4つの方法で行なった。多部族が混在する村と、トングウェのみによる集落では、日常的な言語使用に大きな違いがみられた。また、トングウェ語の民謡は60歳以上の高齢層からのみ収集できた。本発表では調査の概要、インタビューによる意識調査、会話中の言語切り替えについて発表し、トングウェ語の民謡についても紹介する予定である。

2007年5月18日金曜日

霊長類学会大会プレ企画、公開講座開催のお知らせ

滋賀県立大学にて7月14日から16日にかけておこなわれる 第23回日本霊長類学会大会のプレ企画として、全6回の公開講座を彦根で開催いたします。

参加費は無料、ご予約も不要ですので、当日会場に直接お越しください。多くのみなさまのご参加をお待ち申し上げます。

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公開講座  

サルと暮らした自然の森 ― わたしの霊長類野外研究

■日時:2007年5月25日、6月8日、6月15日、6月22日、6月29日、7月6日
各金曜日午後6時~7時半(7月6日は午後6時半~8時)
■会場:大学サテライト・プラザ彦根
     (JR彦根駅前、アル・プラザ彦根6階)
■参加費:無料

■概要:野生のサルの生態・社会や人類の進化について探求するため、日本や東南アジア、アフリカなど、世界各地で霊長類の野外研究がおこなわれています。本講座では毎回、第一線で活躍する研究者を講師に迎え、森の中での研究生活の様子を交えながら野生のサルの暮らしをわかりやすく紹介していただきます。

第1回 5月25日 久世濃子 (京都大学理学研究科研究員)
「最後の楽園に暮らすオランウータン達との日々」

第2回 6月8日 黒田末寿 (滋賀県立大学人間文化学部教授)
「ボノボ:どうぶつの心への接近法を教えてくれた類人猿」

第3回 6月15日 半谷吾郎 (京都大学霊長類研究所准教授)
「屋久島のニホンザルの長期研究」

第4回 6月22日 座馬耕一郎 ((財)日本モンキーセンター・リサーチフェロー)
「チンパンジーと暮らす」

第5回 6月29日 井上陽一 (京都府立西舞鶴高等学校教諭)
「野生テナガザルの歌の意味を探る」

第6回 7月6日 山極寿一 (京都大学理学研究科教授)
「野生ゴリラとのつきあいから学んだこと」

主催:第23回日本霊長類学会大会実行委員会
協賛:日本霊長類学会  後援:滋賀県立大学

●問い合わせ先●
〒522-8533 滋賀県彦根市八坂町2500
滋賀県立大学人間文化学部竹下秀子
電話:0749-28-8444 FAX:0749-28-8559

2007年2月23日金曜日

『ニホンザルにおける母子相互交渉と子の社会的発達』




2007年2月23日
話題提供: 山田 一憲 先生(大阪大学大学院人間科学研究科)

『ニホンザルにおける母子相互交渉と子の社会的発達』
【要旨】生後初期のニホンザルの母子は、身体接触や授乳を通じて極めて密接な関係にある。しかし離乳期には、授乳を求める子ザルと、離乳を求める母ザルとの間に、葛藤が生じる。この離乳期において、子ザルは初めて、他個体との激しい利害の対立を経験する。前半では、乳首接触をめぐる母子の相互交渉を縦断的に調べることによって、子ザルが他個体(母ザル)との利害の対立に対処する能力をどのように獲得していくのかを検討した。後半では、青年期メスの毛づくろい交渉について調べた。一般に、ニホンザルの毛づくろい交渉は、母ザルとその娘の間でもっとも頻繁に生起する。メスのみなしごが行う毛づくろい交渉を、母ザルがいる個体の毛づくろい交渉と比較することによって、母ザルの不在がメスの社会的発達に与える影響を検討した。本発表を通して、子ザルの社会的発達には、母ザルとの関係性の中で展開される側面があることを示したい。