第19回 (2005年6月24日) 細馬宏道 (滋賀県立大学人間文化学部講師)
『共同作業における模倣シークエンスのマイクロ分析』
【要旨】わたしたちは、誰かと誰かが「同じこと」をしているのを見てそれを 「まね(模倣)」と呼ぶ。しかし、実際の相互行為において、異なる参 与者どうしは、あらかじめ何が「同じこと」になるべきかを知っている わけではないし、自他の行為がどのように対応しうるかについて、モデ ルを持っているわけではない。にもかかわらず、結果的に「同じこと」 が行なわれるのはどういうわけだろうか。この発表では、自発的な模倣 行動を起こすような実験設定から得られた観察結果から、行為の連鎖が どのように組織化され、観察者にとって「模倣」として立ち現われてく るかを明らかにする。 模倣を考えるには、「ターン・テイキング」「オーバーラップ」「移行適切場所」といった会話分析の概念が役に立つ。ただし発語のみのコ ミュニケーションとは異なり、身体動作のコミュニケーションでは、い くつものモードが重複を許しながらスピードの微調整を行なっている。 そのため、会話分析の概念は、モード間の重複とスピード調節を考慮し た身体行為の概念として読み替えられる必要がある。本発表では、この 作業を通して、じつは模倣が、コンマ一秒単位の精密な相互行為の結果 為されていることを明らかにしよう!
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