第18回 (2005年5月20日)
実藤和佳子(九州大学人間環境学府) 『乳児が示す乳児への選好』
【要旨】日常生活の中で、乳幼児が同世代の乳幼児に遭遇するとき、年長の子どもと遭遇するときよりも高頻度で相手を凝視・追視していることがある。先行研究でも写真や描画を用いて、乳児が年長の幼児より乳児の方を長く注視することが確認されている。これまで、乳児が同世代乳児を選好する現象は、成人と同様の幼児図式への選好として解釈されてきた。しかし近年、模倣研究から、自分と似たものへの感受性が乳児期からあるという仮説が提唱され始めている。乳児が示す乳児への選好現象は、より自分と似た他者への選好でもあるのかもしれない。報告者はこれまで、乳児が示す乳児への選好の認知的基盤の解明をめざした実験的検討を重ねてきた。発表ではこれまでの研究を紹介し、乳児期における社会的認知発達とその基盤について議論を深めたい。
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