2006年5月12日金曜日

『チンパンジーとヒトの幼児における遊びといざこざ』

第23回(2006年5月12日) 松阪崇久 先生(滋賀県立大学人間文化学部研究員) 
『チンパンジーとヒトの幼児における遊びといざこざ』
【要旨】まず前半で、発表者のこれまでの研究内容を紹介させていただく。発表者はこれまで、タンザニア・マハレ山塊国立公園の野生チンパンジーを対象として、遊び行動や母子関係の発達に関する研究をおこなってきた。その中から、社会的遊びの中で発せられる音声(「笑い声」: play panting)についての研究と、「物を使った遊び」と考えられる行動が群れの個体に広まる過程に関する研究をご紹介したい。後半では、今後の研究計画を発表させていただきたい。発表者は、ヒトとチンパンジーの行動比較をするために、この4月よりヒト幼児の自由遊び場面の観察をおこなっている。その中で、ヒトとチンパンジーは「他個体との関係の持ち方」「コミュニケーション場面での振る舞い方」に大きな違いがある、という印象を持った。この印象をもとに、遊びやいざこざをはじめとして、さまざまなコミュニケーション場面におけるヒトとチンパンジーそれぞれの特徴を再検討したい。