第15回 (2004年12月10日) 上野有理先生(中央学院大学非常勤講師) 『食物選択の学習過程にかんする霊長類の比較研究』
【要旨】ヒトの子どもは、さまざまな形で他者から影響を受けながら食物について学んでいく。その結果、さまざまな食物を選び食べるようになるが、きわめて多種多様な食物を食べることは、ヒトのもつ特徴の1つである。その生物学的基盤を探るためには、ヒト以外の霊長類における食物選択の学習過程を明らかにすることが重要である。報告者はこれまで、系統的にヒトにもっとも近縁の、チンパンジーをおもな対象として、食物選択の基盤となる味覚、および社会的場面における食行動の発達について研究をおこなってきた。本公演では、ヒトでえられている知見を背景として、報告者がこれまでおこなってきた研究を紹介する。ヒトとヒト以外の霊長類を対比させることで、ヒトのもつ特徴を浮き彫りにし、比較認知科学的視点から、今後の研究の展望について述べたい。
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